2017年3月13日月曜日

国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議

 このたび文部科学省にて、「国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議」が開催されました。
私は委員として参加しています。

















 この会議は、日本の教育政策を俯瞰する中で、国際バカロレア(IB)の役割を見直し、今後の課題を整理して、必要な方策を検討していこう、というものです。
今回は第1回ということで、国内IB校(前回のブログでご紹介した高知県教育委員会や、都立国際高等学校、広島の英数学館高等学校などです)における取り組みの現状をヒアリングするとともに、私からは国際バカロレアについての最新のトピックスと、今後の課題をお話ししました。

IBアジア太平洋地区大会が日本で開催される意義

 IBに関する最新のトピックといえば、特に大きな話題は、この3月末に、国際バカロレアのアジア太平洋地区大会が日本で初めて開催されることです。世界から1,250名以上の教育者が来日します。

 日本の教育が世界に向けて開かれていくことは、日本の教育発展に欠かせないと考えています。
言わずもがな、日本の基礎学力は世界から見ても高い水準にあります。また、私が日本の教育でとくに素晴らしいと感じているのは“利他的”な観点があることです。おもてなしの文化が根底にあり、幼い頃から学校生活の中で配膳や教室・トイレ清掃などの「係り」を当たり前のように受け持つ、そんな環境で教育を受けた日本の子どもたちには、人を気遣い、人と協力する力が自ずと身についています。

 一方で、日本の教育にまだ不足していると感じるのは、「自信を持って自分の考えを発信していく力」と、「英語をコミュニケーションのツールとして使いこなす力」です。これらは椅子に座って問題集を解きながら知識を詰め込んでいくだけでは身につきません。

 文部科学省でも、次期学習指導要領が目指す教育の姿についての言及の中で、課題の発見と解決に主体的・協働的に取り組む「アクティブ・ラーニング」を取り上げていますが、IBにおける教育はこのアクティブ・ラーニングに符合しており、先ほど挙げた2つの力の鍛錬にまさにコミットするものとなっています。従来の日本の教育の美点と、アクティブ・ラーニングのモデル校ともなり得るIB校の特長が互いに作用すれば、この国の教育は新しい段階へ進化していけるはずです。

 近い将来、世界のIB校を卒業した生徒が日本の大学に留学できる、したいと思える、そんな環境になっていたらとても素晴らしいと感じます。今回のIBアジア太平洋地区大会の日本開催が、そんな将来への手がかりとなることを期待しています。

 他にも、グローバル人材育成に向けた取り組みが多方面で行なわれます。私も今年度に続いて2017年度も、兵庫教育大学大学院の客員教授をお受けすることが決まりました。引き続き精力的に活動してまいります。